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2025.09.24

AD(アシスタントディレクター)とは?映像制作の要!仕事内容からキャリアパスまで徹底解説

「面白い映像コンテンツを作りたい」「マーケティング施策として動画を活用したい」

そう考える映像クリエイターやマーケティング担当者の皆さん。普段、何気なく見ているテレビ番組やWebCMが、どのように作られているかご存知でしょうか?

華やかな映像の裏側には、作品のクオリティを左右する重要な役割を担う、たくさんのスタッフの存在があります。その中でも、制作現場の心臓部とも言えるのが「AD(アシスタントディレクター)」です。

ADと聞くと、「大変そう」「雑用係?」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、ADはディレクターの右腕として制作全体を支え、時には現場の司令塔として立ち回る、まさに「縁の下の力持ち」。ADの働きなくして、ハイクオリティな映像作品は生まれないと言っても過言ではありません。

この記事では、そんなADの仕事について、具体的な業務内容から求められるスキル、そして未来のキャリアパスまで、映像業界を目指す方はもちろん、制作会社と協業するマーケティング担当者の方にも役立つ視点で、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説していきます。

ADの役割を深く理解することは、映像制作の全体像を掴むことに繋がり、より円滑なコミュニケーションと、より良いコンテンツ制作のヒントになるはずです。それでは、さっそく映像制作の舞台裏を覗いていきましょう。


まずはじめに、ADが制作現場でどのようなポジションなのかを明確にしておきましょう。

ADの基本的な役割:「ディレクターの右腕」であり「現場の司令塔」

AD(アシスタントディレクター)は、その名の通り、番組や映像作品の演出責任者であるディレクターを補佐する役職です。ディレクターが演出に集中できるよう、制作に関わるあらゆる実務を引き受け、現場がスムーズに回るように采配を振るいます。

企画会議の準備から、リサーチ、ロケ地の選定、撮影の段取り、編集の補助、そして出演者やスタッフのケアまで、その業務範囲は驚くほど多岐にわたります。番組制作が滞りなく進むかどうかは、ADの働きにかかっていると言っても良いでしょう。

ディレクター、プロデューサーとの役割分担

映像制作の現場には、主にプロデューサー、ディレクター、そしてADという3つの重要な役職が存在します。それぞれの役割を簡単に整理すると、以下のようになります。

  • プロデューサー:制作全体の総責任者。企画の立ち上げ、予算管理、スタッフの選定、出演者のキャスティングなど、プロジェクト全体を統括します。いわば「船の船長」です。
  • ディレクター:現場の演出責任者。映像のクオリティに責任を持ち、企画意図に沿って、どのような映像を撮るか、どう見せるかを具体的に決定し、スタッフに指示を出します。いわば「現場監督」です。
  • AD(アシスタントディレクター):ディレクターの指示のもと、制作の実務全般を担当。ディレクターが演出に専念できる環境を整える「縁の下の力持ち」であり、現場を円滑に動かす「潤滑油」のような存在です。

この三者がそれぞれの役割を全うし、連携することで、初めて一つの映像作品が完成するのです。

「AD」の呼称は変わる?

一部で「ADという呼称が変更されるのでは?」という話が出たことがありますが、これは一部の放送局内で検討されたに過ぎず、業界全体で変更されるという事実はありません。

長年の慣習や、「AD」という言葉の分かりやすさから、現在も現場ではごく一般的に使われています。今後も映像制作の現場において、ADは重要な役割を担い続けることに変わりはないでしょう。


ADの仕事は「激務」とよく言われますが、具体的にどのような業務を行っているのでしょうか。ここでは、映像制作のプロセスに沿って、ADの仕事を7つのフェーズに分けて詳しく見ていきましょう。

フェーズ1:企画・リサーチ(情報収集とアイデアの土台作り)

すべての映像制作は、企画から始まります。プロデューサーやディレクター、構成作家などが集まる企画会議で、番組や動画のコンセプト、内容が話し合われます。

ADは、この企画会議を円滑に進めるための重要な役割を担います。

  • 会議資料の作成・準備
  • 会議室の予約、Web会議の設定
  • 企画のネタになるような情報のリサーチ
  • 会議の議事録作成

特に「リサーチ」は、企画の面白さを左右する非常に重要な仕事です。インターネットや書籍、新聞はもちろん、時には専門家への取材や現地調査も行い、番組で取り上げるテーマに関する情報を徹底的に掘り下げます。この地道なリサーチが、視聴者の心を掴む魅力的な企画の土台となるのです。

フェーズ2:ロケハン(最高の画を撮るための場所探し)

企画内容が固まったら、次に行うのが「ロケハン(ロケーション・ハンティング)」です。これは、撮影に適した場所を探し、事前に下見を行う作業です。

ADは、企画の意図に合った場所をリストアップし、実際に現地へ足を運びます。

  • 撮影場所の雰囲気や広さの確認
  • 撮影許可の申請・交渉
  • 周辺環境(騒音、人通りなど)のチェック
  • 電源や控室の確保
  • 交通アクセスや駐車場の確認

ただ場所を見つけるだけでなく、そこで最高の映像が撮れるかどうか、あらゆる角度から検証します。時には、お店に何度も足を運んで店主と交渉したり、日の光の入り方を時間帯ごとにチェックしたりと、粘り強い交渉力と探究心が求められる、まさに宝探しのような作業です。

フェーズ3:仕込み(準備が9割!成功を左右する段取り)

「仕込み」とは、ロケやスタジオ収録を本番通りにスムーズに進めるための、あらゆる事前準備を指します。この仕込みのクオリティが、撮影当日の成否を決めると言っても過言ではありません。ADの腕の見せ所です。

  • 技術スタッフ(カメラマン、音声など)や機材の手配
  • 撮影スケジュールの作成(香盤表)
  • 台本やカンペの作成・印刷
  • 出演者の衣装や小道具の手配・管理
  • 出演者やスタッフのお弁当、飲み物の手配
  • ロケ地への移動手段(ロケバスなど)や宿泊先の手配
  • 各種許可申請(道路使用許可など)

これらの無数のタスクを、抜け漏れなく、かつ効率的に進める必要があります。壮大な舞台の脚本と舞台装置を、同時に準備するような緻密さと段取り力が求められます。

フェーズ4:撮影(ロケ・スタジオ)のスムーズな進行管理

いよいよ撮影本番。ADは現場全体に気を配り、撮影が円滑に進むように立ち回ります。

【ロケの場合】

  • 現場での進行管理、スケジュール調整
  • 出演者の誘導、ケア
  • 撮影機材の運搬、管理
  • 通行人の整理や、近隣住民への配慮
  • 予期せぬトラブルへの対応

【スタジオ収録の場合】

  • 出演者の楽屋準備、出番の連絡
  • リハーサルでの出演者代役(カメリハ)
  • 観客の案内、前説(場を温める説明)
  • ディレクターの指示をフロアのスタッフに伝達
  • 収録中の小道具の出し入れ

現場では、常に予測不能な事態が起こります。急な天候の変化、機材トラブル、スケジュールの遅延など、あらゆる問題に迅速かつ冷静に対応する判断力が不可欠です。

フェーズ5:編集補助(物語を紡ぐ最終工程のサポート)

撮影した映像素材は、編集作業を経て一本の作品になります。編集はディレクターが中心となって行いますが、ADも編集補助として重要な役割を担います。

  • オフライン編集の準備:撮影した膨大な映像素材を編集用のPCに取り込み、整理します。
  • オンライン編集の立ち会い:テロップ(字幕)に入れる文字のチェック(誤字脱字は許されません)、CGやイラスト素材の発注・管理などを行います。
  • ディレクターの指示を見て、編集の技術やノウハウを実践的に学びます。

視聴者に伝わる面白いストーリーを構築するため、ディレクターが編集作業に集中できる環境を整えることがADの仕事です。

フェーズ6:MA・納品(音と映像を完成させ、世に送り出す)

映像にBGMや効果音、ナレーションを加える作業を「MA(Multi Audio)」と呼びます。ADは、ナレーターが使用する原稿や飲み物を用意するなど、MA作業のサポートも行います。

こうして画と音が一つになり、完成した映像(完パケ)を、テレビ局などの納品先に届けるまでがADの仕事です。放送前には、取材に協力してくれた方々へオンエアの日時を連絡することも大切な業務の一つです。

番外編:制作を支えるあらゆる業務

上記以外にも、ADの仕事は多岐にわたります。出演者やスタッフへのお弁当の手配一つとっても、アレルギーや好みを把握し、士気が上がるような美味しいお弁当を選ぶ気配りが求められます。

このように、制作に直接関わる業務から、チームの環境を整える雑務まで、ADは「番組制作を支えるあらゆる業務」を担っているのです。


多岐にわたるハードな業務をこなすADには、どのようなスキルや能力が求められるのでしょうか。ここでは、特に重要とされる5つの能力をご紹介します。

コミュニケーション能力(多様な専門家を繋ぐハブ役)

映像制作の現場には、ディレクター、カメラマン、音声、照明、美術、出演者、マネージャーなど、様々な立場のプロフェッショナルが集まります。ADは、これらの人々の間に立ち、円滑なコミュニケーションを促す「ハブ」のような役割を担います。

相手の意図を正確に汲み取り、自分の要望を的確に伝える能力はもちろん、時には意見が対立するスタッフの間を取り持つ調整力も必要です。場の空気を読み、チーム全体のパフォーマンスを最大化するコミュニケーション能力は、ADにとって最も重要なスキルと言えるでしょう。

柔軟性と臨機応変な対応力(トラブルを乗り越える問題解決能力)

計画通りに進むことのほうが珍しいのが、映像制作の現場です。「突然の豪雨でロケが中止になった」「出演者が体調を崩してしまった」「必要な小道具が届かない」など、日々予期せぬトラブルが発生します。

そんな時、パニックにならずに冷静に状況を分析し、「では、どうするか?」と次善策を考え、すぐに行動に移せる柔軟性と臨機応変な対応力が不可欠です。トラブルを乗り越えるたびに、問題解決能力は磨かれていきます。

タスク管理能力と段取り力(無数の業務を捌くマルチタスクスキル)

前述の通り、ADの仕事は膨大かつ多岐にわたります。複数のプロジェクトやタスクが同時進行することも日常茶飯事です。

何から手をつけるべきか優先順位をつけ、それぞれの締め切りを意識しながら、抜け漏れなくタスクを処理していく自己管理能力が求められます。先を見越して準備を進める「段取り力」があれば、不測の事態にも余裕を持って対応できるようになるでしょう。

圧倒的な体力と精神力(不規則な現場を乗り切るタフさ)

ADの仕事は、残念ながら「定時で帰れる」とは言いがたいのが現実です。ロケが早朝から深夜に及ぶことも、編集作業で泊まり込みになることもあります。重い機材を運んだり、一日中立ちっぱなしだったりと、体力的な負担も大きい仕事です。

このハードな環境を乗り切るためには、健康な身体という資本が欠かせません。同時に、プレッシャーや厳しい指摘にもへこたれない、タフな精神力も必要とされます。

「面白いものを作りたい」という熱意(原動力となる情熱)

最後に、そして最も大切なのが、「面白い映像を作りたい」「人に感動や笑いを届けたい」という純粋な熱意です。

ADの仕事は大変なことの連続ですが、自分が関わった番組が放送され、エンドロールに自分の名前が流れた時の達成感は、何物にも代えがたい喜びです。この喜びを知っているからこそ、ハードな仕事も乗り越えられます。この情熱こそが、ADとして成長し続けるための最大の原動力となるのです。


ここまで読んで、ADという仕事に興味を持った方もいるかもしれません。ここでは、ADになるための道筋と、その後のキャリアについて解説します。

ADへの道:学歴や資格よりも経験と熱意

ADになるために、必須の学歴や資格は特にありません。テレビ局や番組制作会社に就職するのが一般的なルートですが、大学や専門学校で映像制作を学んでいなくても、未経験からADになることは十分に可能です。

企業が採用で重視するのは、学歴よりも「この仕事への熱意」や「コミュニケーション能力」「ストレス耐性」といったポテンシャルです。アルバイトやインターンシップで少しでも現場を経験しておくと、有利に働く可能性はあります。

持っていると有利なスキル・資格

必須ではありませんが、「普通自動車運転免許」は持っておくと非常に有利です。ロケでの機材運搬やスタッフの送迎など、車を運転する機会が非常に多いため、応募条件にしている会社も少なくありません。

また、映像編集ソフト(Premiere Pro / After Effectsなど)の基本的な操作スキルがあれば、即戦力として評価されやすいでしょう。

ディレクター、プロデューサーへの王道キャリア

ADとして数年間、現場で経験を積むと、次のステップが見えてきます。最も一般的なキャリアパスは、ディレクターへの昇格です。ADとして培った現場の知識とスキルを活かし、今度は自分が演出を担う立場になります。

さらに経験を積んだ先には、プロジェクト全体を統括するプロデューサーへの道も開かれています。ADは、将来のディレクター、プロデューサーを育成するための登竜門的なポジションでもあるのです。

映像業界の多様化と新たなキャリア

近年、テレビだけでなく、YouTubeやVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービス、企業のWebCMなど、映像コンテンツの需要は多様化しています。

テレビ番組で培ったADの経験は、これらのデジタルメディアの分野でも大いに活かすことができます。Web動画の制作会社に転職したり、フリーランスの映像クリエイターとして独立したりと、キャリアの選択肢は大きく広がっています。ADとして身につけた汎用性の高い制作スキルは、変化の激しい映像業界を生き抜くための強力な武器となるでしょう。


今回は、映像制作の要であるAD(アシスタントディレクター)の仕事について、その役割から具体的な業務内容、そして未来のキャリアパスまでを詳しく解説しました。

ADは、企画、リサーチ、ロケハン、仕込み、撮影、編集と、映像制作のあらゆる工程に深く関わり、ディレクターを支え、現場を動かす重要な存在です。その仕事は決して楽ではありませんが、チームで一つの作品を創り上げる達成感や、視聴者からの反響を得られた時の喜びは、計り知れないものがあります。

映像クリエイターやマーケティング担当者の皆さんがADの仕事内容や役割を理解することは、制作会社との連携をよりスムーズにし、プロジェクトの成功確率を高めることに繋がります。制作現場の「共通言語」を持つことで、お互いの立場を尊重した、より良いパートナーシップを築けるはずです。

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