
「YouTubeショートって本当に収益化できるの?」 「ショート動画で稼ぐための条件が複雑でよくわからない…」 「通常動画と何が違うの?どうやって動画を作ればいいの?」
スマートフォンの普及とともに、今や動画コンテンツの主流となりつつある縦型のショート動画。TikTokやInstagramリールと並び、YouTubeショートも大きな盛り上がりを見せています。
実は、このYouTubeショート動画で収益を得られることをご存知でしたか?
しかし、収益化するためには、YouTubeが定めるいくつかの条件をすべてクリアする必要があります。「なんだか難しそう…」と感じる方も多いかもしれません。
そこでこの記事では、Webメディア「trendship」が、YouTubeショート動画の収益化を目指すすべてのクリエイターや企業のマーケティング担当者様に向けて、以下の内容を徹底的に解説します。
- YouTubeショート動画の収益化に必要な全条件
- 通常動画との収益額や仕組みの違い
- 収益化のメリット・デメリット
- 再生回数を伸ばし、収益化を達成するための動画制作のコツ
この記事を最後まで読めば、YouTubeショート収益化に関する疑問がすべて解決し、今日から何をすべきかが明確になるはずです。ぜひ、あなたのチャンネル運用の参考にしてください。
そもそもYouTubeショート動画とは?
まずは基本からおさらいしましょう。YouTubeショート動画とは、最大180秒(3分)までの短尺の縦型動画を投稿・閲覧できるプラットフォームです。スマートフォンでの視聴に最適化されており、スワイプするだけで次々と新しい動画に出会える手軽さが人気を集めています。
その特徴をいくつか見ていきましょう。
ショート動画の主な特徴
- 動画の長さ: 最大180秒まで投稿可能。
- 画面フォーマット: スマートフォン視聴が前提の縦型表示(アスペクト比 9:16)。
- 視聴スタイル: 縦にスワイプすることで、次々に動画が再生される。
- 制作の手軽さ: スマートフォン1台あれば、撮影から編集、投稿まで完結できる。
- 拡散力の高さ: YouTubeのアルゴリズムにより、チャンネル登録者以外にも広く動画が届きやすい。
- コンテンツの傾向: ストーリー性や共感を呼ぶ内容、ハウツー、エンタメなど多岐にわたる。
これらの特徴から、個人クリエイターだけでなく、企業のマーケティング活動においても、ブランド認知度の向上や新規顧客獲得のツールとして幅広く活用されています。
YouTubeショート動画と通常動画の収益化における違い
YouTubeで収益化を目指す上で、ショート動画と従来の横型動画(通常動画)の違いを理解しておくことは非常に重要です。特に収益額や仕組みには大きな差があります。
項目 | YouTubeショート動画 | 通常のYouTube動画 |
画面フォーマット | 縦長 (9:16) | 横長 (16:9) |
再生時間 | 最大180秒 | 制限なし (12時間 or 256GBまで) |
1再生あたりの収益目安 | 約0.003円~0.01円 | 約0.05円~0.7円 |
広告の表示形式 | 動画と動画の間に表示 | 動画の前後や途中に挿入 (インストリーム広告など) |
収益の仕組み | クリエイタープールから分配 | 動画ごとの広告収益が直接分配 |
視聴方法 | スワイプで次々表示 | クリックや検索で選択 |
収益額・収益率の大きな差
表を見てわかる通り、最も大きな違いは1再生あたりの収益額です。ショート動画は通常動画に比べて、収益額が大幅に低くなる傾向にあります。
例えば、同じ100万回再生された場合でも、収益は以下のようになります。
- ショート動画: 約3,000円~10,000円
- 通常動画: 約50,000円~700,000円
この差は、広告の表示方法に起因します。通常動画では動画内に複数の広告を挿入できますが、ショート動画の広告は動画の合間に表示されるため、クリエイターへの還元率が低く設定されています。
ただし、ショート動画はアルゴリズムによって爆発的に再生回数が伸びやすいという特性も持っています。そのため、収益単価は低くても、再生回数を稼ぐことで収益を積み上げていく戦略が基本となります。
【最重要】YouTubeショート動画で収益化するための全条件
それでは、本題であるYouTubeショート動画で収益化するための具体的な条件を見ていきましょう。収益化には「YouTubeパートナープログラム(YPP)」への参加が必須であり、その参加には以下の条件を満たす必要があります。
YouTubeパートナープログラム(YPP)への参加条件
以下のいずれかの条件をクリアする必要があります。
- パターンA(通常動画メイン):
- チャンネル登録者数が1,000人以上
- かつ、公開されている通常動画の総再生時間が直近12ヶ月で4,000時間以上
- パターンB(ショート動画メイン):
- チャンネル登録者数が1,000人以上
- かつ、公開されているショート動画の視聴回数が直近90日間で1,000万回以上
重要なのは、「チャンネル登録者数1,000人」はどちらのパターンでも必須であるという点です。その上で、「通常動画の再生時間」か「ショート動画の再生回数」のどちらかの基準を満たせば、YPPへの参加申請が可能になります。
YPP参加後に必要な手続きと遵守事項
上記の条件をクリアしてYPPに参加した後も、以下の手続きとルールの遵守が求められます。
- 「ショート動画収益化モジュール」への同意: YPPに参加後、YouTube Studioの「収益化」セクションから、ショート動画で収益を得るための規約(モジュール)に同意する必要があります。この同意が完了する前の再生回数は収益化の対象にならないため、注意が必要です。
- YouTubeの各種ガイドラインの遵守:
- YouTubeの収益化ポリシー
- 広告掲載に適したコンテンツのガイドライン
- コミュニティガイドライン
- 著作権ポリシー
これらのガイドラインに違反するコンテンツ(例: 暴力的なもの、他人の著作物の無断使用など)を投稿すると、収益化が停止されたり、チャンネルが削除されたりする可能性があります。コンテンツはオリジナルであることが基本です。
補足:より低い条件で利用できる収益化機能
広告収益とは別に、ファンから直接支援を受けるための機能も用意されています。これらは、YPPのメイン条件よりも少し低いハードルで利用できます。
- 利用条件:
- チャンネル登録者数が500人以上
- 直近90日間で有効な公開動画を3本以上アップロード
- かつ、通常動画の総再生時間が直近12ヶ月で3,000時間以上、またはショート動画の視聴回数が直近90日間で300万回以上
- 利用できる機能:
- チャンネルメンバーシップ
- スーパーチャット、スーパーステッカー
- スーパーサンクス
これらの機能を活用することで、広告収益だけに頼らない多様な収益源を確保することが可能になります。
YouTubeショート動画の収益が発生する仕組み
「ショート動画の収益は、どうやって計算されているの?」と疑問に思う方もいるでしょう。ショート動画の収益分配は、通常動画とは少し異なる、以下の4つのステップで行われます。
ステップ1:広告収益が「クリエイタープール」に合算される
まず、ショート動画のフィード(動画と動画の間)に表示されたすべての広告から得られた収益が、一旦「クリエイタープール」と呼ばれる一つの大きな資金プールにまとめられます。
ステップ2:音楽ライセンス費用が差し引かれる
次に、クリエイタープールから音楽ライセンスの費用が支払われます。動画内で音楽を使用した場合、そのコストがここから差し引かれます。音楽を使っていない動画のクリエイターが損をしないための、公平な仕組みです。
ステップ3:クリエイターの再生回数に応じて報酬が割り当てられる
音楽ライセンス費用が差し引かれた後のクリエイタープールが、収益化を有効にしているすべてのクリエイターに分配されます。
分配額は、各クリエイターのショート動画が、国ごとの全ショート動画の総再生回数に占める割合によって決まります。例えば、あなたの動画の再生回数が、その月の日本国内の全ショート動画再生回数の1%を占めていた場合、クリエイタープールの1%があなたに割り当てられます。
ステップ4:クリエイターに収益が支払われる(レベニューシェア)
最後に、ステップ3で割り当てられた報酬額のうち、45%がクリエイターの収益として支払われます。残りの55%はYouTubeの取り分となります。
この仕組みを理解しておくと、なぜ再生回数を増やすことが重要なのかがより明確になりますね。
ショート動画で収益化を目指すメリット
収益単価は低いものの、ショート動画で収益化を目指すことには多くのメリットがあります。
通常の動画よりも制作ハードルが低い
ショート動画の最大の魅力は、その手軽さです。スマートフォン1台あれば、YouTubeアプリ内の機能を使って撮影から編集、BGMの追加、投稿までをシームレスに行えます。高価な機材や専門的な編集ソフトがなくても、アイデア次第で魅力的なコンテンツを制作できるため、初心者でも気軽に始められます。
通常の動画よりも視聴されやすい
ショート動画は、YouTubeのアルゴリズムによって、チャンネル登録者数に関わらず多くのユーザーに表示される可能性があります。「ショートフィード」という専用の表示面があり、ユーザーは能動的に検索しなくても、スワイプするだけで新しい動画に出会えます。これにより、チャンネル開設初期でも動画がバズり、一気に知名度を上げるチャンスがあります。
ほかのSNSと連携して動画を活用できる
ショート動画の縦型フォーマットは、TikTokやInstagramリールといった他の人気SNSプラットフォームと共通です。そのため、一度制作した動画を複数のプラットフォームに展開(横展開)することが容易です。これにより、各SNSのユーザー層にアプローチでき、チャンネルへの流入経路を増やすことができます。
ショート動画で収益化を目指すデメリット・注意点
メリットがある一方で、もちろんデメリットや注意すべき点も存在します。
収益額や収益率が通常の動画よりも少ない
先述の通り、1再生あたりの収益単価が低い点は最大のデメリットです。ショート動画だけで大きな収益を上げるには、膨大な再生回数が必要になります。収益の最大化を目指すのであれば、ショート動画を新規ファン獲得の入り口とし、収益単価の高い通常動画やライブ配信、メンバーシップなどへ誘導する戦略が効果的です。
通常の動画に比べて離脱率が高い
視聴者はスワイプ一つで簡単に次の動画へ移動できるため、動画の冒頭数秒で興味を引けなければ、すぐに離脱されてしまいます。視聴維持率を高く保つためには、視聴者を一瞬で惹きつける「フック」を常に意識した動画作りが求められます。
概要欄まで見てもらいにくい
ショート動画の視聴画面では、概要欄は数タップしないと表示されません。そのため、アフィリエイトリンクや自社サイトへのURLを設置しても、クリックされる可能性は通常動画に比べて格段に低くなります。外部への誘導よりも、動画内で情報を完結させるか、コメント欄やプロフィールへの誘導を工夫する必要があります。
通常動画の視聴につながりにくい
ショート動画の視聴者は「短い動画をテンポよく見たい」というマインドで視聴していることが多く、ショート動画でファンになったからといって、必ずしも長尺の通常動画を見てくれるとは限りません。ショート動画と通常動画では、視聴者層や求められるコンテンツが異なる場合があることを理解しておく必要があります。
収益化条件をクリアするための動画制作6つのコツ
では、厳しい収益化条件をクリアし、再生回数を伸ばしていくためには、どのような動画を作れば良いのでしょうか。ここでは、明日から実践できる6つの制作のコツをご紹介します。
ショート動画のテーマやターゲットを明確にする
まずは「誰に、何を伝えたいのか」を明確にしましょう。ターゲットとなる視聴者の年齢、性別、興味関心などを具体的に設定(ペルソナ設定)し、そのターゲットに響くテーマでチャンネルの方向性を統一します。ジャンルを絞ることで専門性が高まり、ファンが付きやすくなるだけでなく、YouTubeのアルゴリズムにも「このチャンネルはこの分野に特化している」と認識されやすくなります。
視聴者の注意をひく冒頭3秒を大事にする
離脱率の高いショート動画では、冒頭の3秒が勝負です。この数秒で「この動画は面白そう」「見る価値がありそう」と思わせなければなりません。
- 問いかけから始める: 「〇〇で悩んでいませんか?」
- 衝撃的な事実を提示する: 「実は、ほとんどの人が〇〇を間違っている」
- 結論を先に見せる: 「この方法を使えば、1分で〇〇ができます」
など、視聴者の好奇心を刺激する「フック」を冒頭に持ってくる構成を意識しましょう。
テンポの良い展開や流れを意識する
ショート動画では、間延びした展開は禁物です。不要な部分は大胆にカットし、短いカットを繋ぎ合わせることで、視聴者を飽きさせないスピーディーな展開を心がけましょう。効果的なBGMや効果音を使うことも、動画全体のリズム感を生み出す上で非常に重要です。
ユーザーへのアクションを促す仕組みをつくる
ただ見てもらうだけでなく、「いいね」や「コメント」「チャンネル登録」といったエンゲージメントを高める工夫を動画内に盛り込みましょう。エンゲージメント率が高い動画は、アルゴリズムによって評価され、さらに多くの人におすすめ表示されやすくなります。
- コメントを促す問いかけ: 「皆さんはどう思いますか?コメントで教えてください!」
- チャンネル登録を促す呼びかけ: 「役立ったと思ったら、フォローして次の動画もお見逃しなく!」
このように、視聴者に具体的なアクションを呼びかけることが効果的です。
視聴者の興味を引くサムネイルとタイトル
ショート動画はフィードで偶然見られることが多いですが、検索や関連動画から視聴されるケースもあります。その際に重要になるのが、動画の顔であるサムネイルとタイトルです。
- サムネイル: 動画内で最もインパクトのある瞬間や、内容が一目でわかるシーンを選ぶ。必要であれば、目を引くテキストを入れる。
- タイトル: 数字を入れたり(「3つのコツ」)、パワーワードを使ったり(「知らないと損」)して、クリックしたくなるような工夫を凝らす。
トレンドやオリジナリティを打ち出す
流行りの音楽やダンス、話題のチャレンジなどを取り入れることで、トレンドに関心のある多くのユーザーに動画を届けることができます。ただし、トレンドを真似するだけでは、他の多くの動画に埋もれてしまいます。
トレンドのフォーマットを借りつつも、そこにあなた独自の視点や専門知識、キャラクターといった「オリジナリティ」を加えることで、他との差別化を図りましょう。このバランス感覚が、長期的にファンを増やしていく鍵となります。
YouTubeショートの収益化に関するよくある質問(Q&A)
最後に、ショート動画の収益化に関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q. ショート動画だけで収益化は可能ですか?
A. はい、可能です。先述の通り、「チャンネル登録者1,000人以上」と「直近90日間でショート動画の視聴回数1,000万回以上」という条件を満たせば、ショート動画のみを投稿しているチャンネルでも収益化できます。ただし、安定した収益を目指すのであれば、拡散力の高いショート動画と収益単価の高い通常動画を組み合わせる戦略が最も効果的です。
Q. ショート動画の収益は1再生あたりいくらですか?
A. あくまで目安ですが、1再生あたり約0.003円〜0.01円程度と言われています。これは広告単価や視聴者の属性によって変動します。100万回再生されても3,000円〜10,000円程度の収益となる計算です。
Q. 収益化できるまで、どれくらいの期間がかかりますか?
A. これは個人差が非常に大きいですが、一般的には半年〜1年程度かかることが多いと言われています。週に3〜5本など、質の高い動画をコンスタントに投稿し続けることが近道です。1本の動画がバズることで、数日で条件をクリアするケースもありますが、基本的には継続的な努力が求められます。
Q. ショート動画で人気のあるジャンルは?
A. ハウツー・豆知識、コメディ・あるあるネタ、ダンス・音楽、美容・ファッション、グルメ・料理など、非常に多岐にわたります。重要なのは、どのジャンルを選ぶかよりも、その中でいかに独自の視点や個性を出せるかです。ご自身の得意なことや情熱を注げるテーマを選ぶことが、継続の秘訣です。
まとめ:ショート動画の特性を理解し、収益化を目指そう
今回は、YouTubeショート動画で収益化するための条件や方法、そして再生回数を伸ばすための制作のコツについて詳しく解説しました。
最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- ショート動画収益化の条件:
- チャンネル登録者数が1,000人以上
- かつ、直近90日間でショート動画の視聴回数が1,000万回以上
- YPP参加後、「ショート動画収益化モジュール」への同意が必要
- 各種ガイドラインの遵守
ショート動画は、制作の手軽さと拡散力の高さが魅力ですが、収益単価が低く、視聴者の心を掴み続けるための工夫が常に求められるプラットフォームです。
しかし、その特性を正しく理解し、戦略的に活用すれば、チャンネルを大きく成長させる強力な武器になります。ショート動画をきっかけにあなたのファンを増やし、通常動画やその他の収益化機能へと繋げていくことで、YouTubeでの成功はより確かなものになるでしょう。
この記事が、あなたのクリエイター活動の一助となれば幸いです。まずは、今日学んだコツを一つでも取り入れて、新しいショート動画を1本制作してみてはいかがでしょうか。