アニメーション動画の「種類」で成果が変わる!マーケティング目的別・最適な選び方ガイド
「最近、Web広告やサービス紹介でアニメーション動画をよく見かけるな」 「自社でも取り入れたいけど、実写とどう違うんだろう?」
Webマーケティングご担当者さまや映像クリエイターの方なら、このように感じているかもしれません。
たしかに、アニメーション動画はここ数年で一気に活用が広まりました。しかし、ただ「流行っているから」という理由でアニメーション動画を制作しても、期待した成果には繋がりにくいものです。
実は、アニメーション動画には驚くほど多くの「種類」があり、どれを選ぶかによって視聴者に与える印象や伝わり方が全く変わってきます。
「サービス紹介のはずなのに、なんだか分かりにくい…」 「ブランディング動画なのに、安っぽく見えてしまった…」
こうした失敗は、多くの場合、目的とアニメーションの「種類」がミスマッチであるために起こります。
この記事では、Webメディア「trendship」の編集部が、数あるアニメーション動画の種類を徹底分析。単なる種類の紹介ではなく、「あなたのマーケティング目的に最適なのはどの手法か?」という視点で、選び方のガイドを分かりやすく解説していきます。
なぜ今、アニメーション動画が選ばれるのか?
まず、なぜ多くの企業が実写ではなくアニメーション動画を選ぶのでしょうか。そこには、マーケティング戦略上、非常に強力なメリットがあるからです。
難しいサービスや概念も「伝わる」形に
形のないITサービスや、複雑な仕組み、目に見えない概念などを説明するとき、実写ではどう表現していいか困ることがあります。アニメーション動画なら、そうした抽象的な情報をイラストや図解、グラフィックで「見える化」できます。視聴者の理解をぐっと深めることができるのは、最大の強みです。
実写では不可能な「世界観」を表現できる
企業のブランドイメージや、未来のビジョン、ファンタジックな世界観など、実写での撮影が難しい(あるいは莫大なコストがかかる)表現も、アニメーションなら自由自在です。独自のキャラクターや色彩、動きによって、競合他社にはないユニークなブランドイメージを確立できます。
複雑なデータや情報を「整理」して見せる
IR情報や市場データ、導入実績などをテキストや静止画のグラフで見せられても、なかなか頭に入ってきませんよね。アニメーション動画、特にインフォグラフィックなどの手法を使えば、退屈になりがちなデータに動きとリズムが生まれ、視聴者を飽きさせずに情報を「整理」して届けられます。
修正や再利用がしやすい「柔軟性」
実写動画の場合、「やっぱりこのシーンを差し替えたい」となると、再撮影や再キャスティングが必要になり、大きな手間とコストが発生します。アニメーション動画はデジタルデータが基本なので、色味の変更、テキストの修正、一部のシーンの差し替えなどが比較的容易です。一度作った素材を、別の動画に再利用しやすいのも魅力です。
成果を分ける「目的別」アニメーション種類の選び方
それでは、本題です。アニメーション動画には多くの種類がありますが、ここでは代表的なものを「マーケティングの目的別」に分類してご紹介します。あなたの「やりたいこと」に一番近いものを見つけてみてください。
目的①:複雑なサービスや仕組みを「分かりやすく解説したい」
無形商材や、BtoBの複雑なシステム、社内向けの研修マニュアルなど、「正しく・分かりやすく」伝えることが最優先の場合に最適な手法です。
- イラストアニメーション シンプルで親しみやすいイラストを動かす、最もスタンダードな手法です。温かみのあるトーンで、視聴者に安心感を与えながら内容を理解してもらえます。
- ホワイトボードアニメーション 白い背景に、手がスラスラとイラストや文字を描いていく過程を見せる手法です。「今から説明が始まる」という学習効果が高く、視聴者の集中力を維持しやすいのが特徴です。研修や教育コンテンツと好相性です。
- アイソメトリック(2.5D) 2D(平面)でありながら、立体的に見えるように描かれた手法です。全体のフローやシステムの関係性を、俯瞰(ふかん)で分かりやすく見せたいときに活躍します。
目的②:ブランドイメージを確立し、感情に訴えたい
機能的な説明よりも、「この会社、なんだか素敵」「このサービス、ワクワクする」といった情緒的な価値や世界観を伝えることが目的の場合です。
- フルアニメーション テレビアニメや映画のように、滑らかな動きと緻密な背景で作り込まれた手法です。コストと時間はかかりますが、視聴者を強く惹きつけるストーリーや世界観を描くことができ、ブランディングに絶大な効果を発揮します。
- キャラクターアニメーション 自社オリジナルのキャラクターを登場させる手法です。キャラクターが案内役や主人公となることで、動画に親近感が生まれ、視聴者の記憶に残りやすくなります。企業の「顔」として長期的に活用できます。
- タイポグラフィアニメーション 文字(タイポグラフィ)そのものに動きやエフェクトをつけて、メッセージをリズミカルに見せる手法です。スタイリッシュで感情的な表現が得意で、特に伝えたいキャッチコピーを強く印象付けたいときに有効です。
目的③:データや実績を「説得力をもって見せたい」
株主向けのIR動画や、営業資料、導入事例紹介など、「データ」を根拠に信頼性や優位性を示したい場合に適しています。
- インフォグラフィック動画 グラフやチャート、数値などのデータ情報を、視覚的に分かりやすくデザインして動かす手法です。数字の羅列では伝わらない「変化」や「規模感」を直感的に伝え、説得力を高めます。
- モーショングラフィックス 図形やテキスト、アイコンなどをリズミカルに動かす手法です。インフォグラフィックと似ていますが、より広範なデザイン(スタイリッシュ、ポップなど)を含みます。テンポ良く情報を提示できるため、飽きさせません。
- ピクトグラムアニメーション 非常口のマークのような、極限までシンプル化された人型のイラスト(ピクトグラム)を使う手法です。シンプルゆえに情報が瞬時に伝わり、比較的低コストで制作できるのも魅力です。
目的④:広告などで、とにかく「目を引く」インパクトが欲しい
SNS広告やWebCMなど、短い時間で視聴者のスクロールする指を止めさせ、強い印象を残すことが目的の場合です。
- 3Dアニメーション 立体的なCG空間で、リアルな質感やダイナミックな動きを表現する手法です。実写では撮影不可能なカメラワークや、製品の内部構造を見せるなど、リッチで高品質な印象を与えられます。
- モーショングラフィックス 目的③でも登場しましたが、そのスタイリッシュさとデザイン性の高さから、広告クリエイティブとしても非常に強力です。企業のロゴを印象的に動かす「ロゴアニメーション」もこの一種です。
「自作」と「外注」どちらを選ぶべき?
目的と種類が決まったら、次に悩むのが「誰が作るか?」です。これも判断基準を明確にしておきましょう。
内製(DIY)で進める場合の判断基準
最近は「Vyond(ビヨンド)」のような、専門知識がなくてもアニメーションを作れるツールが登場しています。
- メリット 外注コストを大幅に削減できます。また、社内で作るため、ちょっとした修正や、急なスケジュール変更にも柔軟に対応しやすいです。
- デメリット 当然ながら、クオリティはツールの機能と制作者のスキルに依存します。また、操作方法の学習や実際の制作に、担当者のリソース(時間)が大きく割かれることになります。「安く済む」はずが、人件費換算すると「高くついた」というケースも。
- おすすめなケース 予算が最優先事項の場合。あるいは、社内研修用や、Webサイトの片隅に置く説明動画など、クオリティよりも「まず作ること」が重要な場合です。
プロ(制作会社)に依頼すべきケース
ビジネスの「成果」を本気で求めるなら、やはりプロへの依頼がおすすめです。
- メリット クオリティが担保されます。それだけでなく、プロは「どうすれば成果が出るか」というマーケティング視点での企画・構成(シナリオ)から提案してくれます。自社のリソースを制作に割く必要もありません。
- デメリット 当然ながら、内製に比べてまとまった費用がかかります。
- おすすめなケース 企業の顔となるサービス紹介や、ブランディング動画、広告用動画など、対外的なイメージや成果が重要となる全てのケースです。
知っておきたい費用相場と制作スケジュール
最後に、プロに依頼する場合の現実的な費用感とスケジュール感を把握しておきましょう。
気になる費用相場:何が価格を決めるのか?
アニメーション動画の費用は、依頼する内容によって大きく変動します。
一般的な相場としては、30万円〜100万円程度がボリュームゾーンですが、フルアニメーションや高品質な3Dになれば数百万円に及ぶこともあります。
価格を決める主な要因は以下の3つです。
- 動画の「長さ」 当然ですが、尺が長くなるほど制作工数がかかり、費用は上がります。
- アニメーションの「種類(スタイル)」 ピクトグラムやシンプルなモーショングラフィックスは比較的安価ですが、オリジナルのイラストを多数描き起こしたり、3Dモデリングが必要だったりすると高額になります。
- 素材の「オリジナル性」 既存のイラスト素材(ストック素材)を使えば費用を抑えられますが、全てオリジナルで描き起こす場合は、イラストレーター費用が加算されます。
制作の基本的な流れと期間
制作期間は、平均して1.5ヶ月〜2ヶ月程度を見ておくとよいでしょう。短い動画でも、企画や修正のやり取りを含めると、最低1ヶ月はかかると考えておきましょう。
一般的な制作フローは以下の通りです。
- ヒアリング・企画構成 (制作会社が)目的やターゲット、伝えたいメッセージを深くヒアリングし、動画の骨子となるシナリオ(台本)を作成します。
- 絵コンテ・デザイン制作 シナリオをもとに、具体的なシーンの設計図である「絵コンテ」を作成します。同時に、キャラクターや背景などのデザインテイストを固めます。
- イラスト・素材制作 決定したデザインに基づき、動画で動かすイラスト素材などを作成します。
- 編集・アニメーション作業 素材を動かし、BGMやナレーション、テロップなどを加えて動画として完成させます。
- 試写・修正 完成した動画(初稿)を依頼者が確認し、修正点をフィードバックします。
- 納品 修正を反映した最終版を納品します。
まとめ
アニメーション動画は、その表現の幅広さゆえに、マーケティングの強力な武器となります。しかし、その力を最大限に引き出すには、自社の「目的」に合った「種類」を戦略的に選ぶことが不可欠です。
「新サービスの認知度を上げたい」 「複雑な機能を、分かりやすくデモしたい」 「採用希望者に、自社の魅力をエモーショナルに伝えたい」
まずは、あなたの「動画で何を達成したいのか?」を明確にすることから始めてみてください。最適な手法が見つかれば、アニメーション動画はきっと、あなたのビジネスを力強く後押ししてくれるはずです。
タグ【 動画マーケティング, 動画・映像制作, 動画制作ノウハウ, 商品・サービス紹介動画 】